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Coco et Igor


シャネル映画のラストを飾るにふさわしい作品だった。
(まだ気が高ぶっているので支離滅裂、ご容赦ください)





シャネル映画には少しばかり辟易してもいたのだが、敬愛するブロガーさんが 「バレエ・リュスの公演シーンに30分くらい割かれている」 と書かれているのを見て、レディースデイを利用し鑑賞決行。


まず、オープニングとエンディングロールのタイトルバックが素晴らしく美しい。


アラベスク模様が万華鏡のように次々と変化するところへ、アールヌーボー様の流線型の美しいbannerが差し込まれる。

グラフィックが停止したところでその残像が最初のシーンに変化する、という非常に凝った作り。
このCGだけでも再見したいと思わせる。



さて、物語のほうはいうと…。

ココが生涯たった一人愛した恋人、“ボーイ” カペルとの別れがあっさり描かれた後、場面はパリのシャンゼりゼ劇場へ。

いよいよディアギレフ率いるバレエリュス 「春の祭典」 初演のシーンである。


頬を赤く丸く描いた不思議なメイク、クラシックバレエの型を全く無視し、地を這うように地団太を踏む醜いともいえる振付 (ニジンスキーが 「命を吹き込め!」 といけにえ役の女性ダンサーに指導する場面もあり)、そしてストラヴィンスキーの変拍子・転調・不協和音にあふれた音楽。


初演は賛否両論だったらしい。



ネタバレになるので詳しくは書かないが、その後描かれるシャネルとストラヴィンスキーの関係については、作曲家の家族ごと彼女のパリ郊外の別荘に寄宿していたこと、どうやら情事もあったらしいこと、春の祭典の再演にあたり彼女が匿名で寄付をした、というのは史実のようだ。



シャネル役のアナ・ムグラリスは現在カールのミューズとしてシャネルの広告のモデルなどを務めている女優。

細い顔幅いっぱいの意思の強そうな黒い眼、黒髪、モディリアーニの描く女性のように長い首、少しゆがんだもう少しで意地悪になりそうな口元、そしてダミ声が特徴。
(ココはヘヴィスモーカーだったのだからこのくらい下品スレスレな声でちょうどいいと思う。)

イゴール役は初見だが、少し後退しかけた額、ゆるんだお腹周り、つるの華奢な丸いめがねがセクシーな俳優だ。


ディアギレフは本人に瓜二つだし、ニジンスキーもアチラ側のヒトという雰囲気がよく出ていたし、色男だったらしいレオニード・マシーン役の俳優も 「にやけ感」 にリアリティがあって、総じて上手い。


またインテリアが非常に美しいのも印象的だが、装飾はすべてラリックとのことで納得。


衣装は他の2本よりかなりシンプルだが、カッティングが実にすばらしい。

白いジャージーのジャケット、肩周りが華奢なのにふんわりと身体に沿って、着る人の美しさを際立たせている。

アクセサリーは常にパールのロングネックレスだけ。それに黒い帽子がミステリアス。

そして時折りアナが身にまとうイヴニングドレスも美しさの極みだ!
(無論オートクチュールだろう…)


バックショットのたびにしなやかに動く彼女の肩甲骨に見とれてしまったが、絶対 「骨の女」 (肉感的ではないという意)だ。

普段もオールシャネルだそう 笑。


ということでたぶんまた見ると思われます。

☆おまけ☆

参考までに、初演にかなり忠実らしい、joffrey balletの le sacre du printempsです。
by solferino | 2010-02-10 23:34 | 日々のこと
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