人気ブログランキング | 話題のタグを見る
<< なかなか治りません~ 最近買ったもの >>

Black Swan

週末に観てきました。

ネタバレは避けて、衣装やバレエのことを。





衣装に焦点を当てたメイキング動画見つけました。



今回衣装を手掛けたのは、NYを中心に活躍するローラ&ケイトのマレヴィ姉妹による RODARTE です。

手仕事にこだわりのあるブランドだけに、衣装も楽しみ☆
(Costume designのクレジットは Amy Westcottとなってます。)

*劇中劇:舞台での衣装
白鳥・黒鳥ともアシメトリー、羽根飾りの多い派手な衣装でした。
非常にアメリカ的、ショーアップされてます。

白鳥は特に脇にシルバーのスタッズのようなラインストーンがついていて、パンキッシュなイメージ。

そしてアップが多くて見栄えが悪いからなんだろうけれど、肩ゴムがないのでちょっと危うい~。
実際の舞台ではありえないですけどね。

賛否両論の黒鳥の隈取メイクについては 私的には全然OK。
ナタリーはアミダラでもう慣れてるし (笑)、バレエのプロダクションでも毛利臣男先生が美術監督を務めたパリオペの白鳥をすぐに思い出しました。(←このプロダクションではロットバルトが歌舞伎役者そのもの)


*普段着
ポートマン演じるニナは、確か入団6年目という設定なので20代半ばだと思うのですが、少女趣味のあか抜けない服装でした。
(日本でも時々ものすごく乙女趣味のバレエ女子がいますが、欧米でもそうなのだろうか…?)

ピンクサテンのナイトドレスやぬいぐるみで一杯の部屋など、さもあらん、といった感じ。
個人的にはピンクツィードのコートがリアりティがありました。
(you tube 2:14あたりでスタイル画が出ているものです)


*稽古着
YUMIKOやFREEDのレッスンウェアについても、ナタリーは白およびピンクベース、ミラ・クニスは黒ベース、と分かりやすいスタイル。
そのうち白からグレー→黒となるのはお約束 笑。  タイツもピンタイから黒に。

レオタードよりウォームアップやニットウェアが可愛かったな~。
ちなみにタイツはカペジオでした。


*ポートマンのバレエ
何か月もレッスンをしてバレエの体を作ったとのことですが、アスリートっぽい筋肉質な仕上がりでした。
深層筋というより表層筋が鍛えられたという感じ。
肩甲骨はものすごく動いていましたけど。

気になったのはアームス。 どうしてか腕が短く見えたんですよね。 
太さもだけれどやはり動かし方がプロとは違うのでしょうか~。

回転はCG効果もあるのか、とてもきれいでした。


*ミルピエの振付
ナタリーがおめでた婚をした振付家、ベンジャミン・ミルピエによる振付、正直期待ほどではなかったかも。
とはいえ、全幕ではなくシーンで切り取られるので何ともいえないですね~。

湖の出会いのシーンや白鳥のPDDではクラシック版をほぼ踏襲。
王子が抱きすくめようとするとするりと逃げるところなどは、繊細でとても上手かったです。

黒鳥のGPDDについては幼稚な感じのワルツステップで始まるので???でしたが、劇中劇で本人が演じることを考えるとこの程度じゃないと無理だったのかしら…。

フルではなくドゥミポワントが多いとかそれが低いとかは仕方がないと思うし、ダンサーではなく女優としてあそこまで出来たというのは尊敬に値します。
(だって確実に私よりうまいもの~笑)


☆おまけ☆
突っ込みどころ満載の、でも力作でした。

いまさらですが、「白鳥」には作り手を刺激するファクターが山のようにあるのでしょうね。

・善と悪の両面性
・誘惑と裏切り、信頼と許し
・母親と王子、悪魔とその娘など、親と子とのかかわり
・空を飛ぶことへの憧れ (バレエが目指している重力からの解放)
・自分を超えるものになること
などなど。

何がどのメタファーなの?と考え始めるともはや迷宮。
この映画ではさらにナタリー・ポートマン自身が劇中ダンサーに投影されていることでさらに複雑に。

見る人により捉え方がいろいろになりそうな作品でした。
気になる方はぜひ謎解きしてみてください~。


そしてどんなに改定をしたとしても損なわれないのがチャイコフスキーの音楽。
この魅力は大きいと改めて感じました。

映画も舞台と同様、序曲で始まり、悲壮な物語に救いをもたらすあの終章で終わります。 

そしてエンディング・ロールは序曲に戻り、主旋律を省いたピアノソロでした。
主旋律を除いてるのも暗喩なのかな~。
それがなくてもあのテーマだと分かる、もの悲しく美しい音楽でした。



☆おまけ☆
わたしはクラシック以外のプロダクションならこれが好きです。

設定は少し下世話な部分もあるけれど、新鮮で、なにより洗練されています。


Matthew Bourne振付  SWAN LAKE  Act2より。  スワンはアダム・クーパーです。


by solferino | 2011-05-17 23:30 | バレエの周辺
<< なかなか治りません~ 最近買ったもの >>